オーストラリアの喫煙事情 - タバコの値段、持ちこみ制限、禁煙区域など

Tobacconist (たばこ屋)

たばこの価格が高いオーストラリアは、喫煙者に対して厳しく、喫煙場所も限られています。たばこのパッケージや販売店にも禁煙を促進する規制があり、喫煙撲滅する為のキャンペーンも盛んです。たばこ会社による一切の広告・宣伝活動も禁止されています。

オーストラリアでのたばこ喫煙に関する事情について、くわしく説明します。

タバコの値段と種類

タバコ1箱の値段は、本数によりますが、一番安くて20本入りで約$20、最も吸われている平均的な銘柄は25本入りで$30前後、40本入りだと$45以上といったところです。

箱のサイズは色々ありますが、代表的なものだと、20本入り、25本入り、30本入り、40本入り、50本入り、そして、80本入りというようになっています。

ブランドによっても、店によっても価格に差がありますが、平均的な値段は、1本につき、$1以上と考えるといいでしょう。

20本入りの物と25本入りが一番種類が多く、買う人も多いようです。20本入りの価格帯はブランドによって下は$20から上は$30くらいまで、25本入りは$30弱から$35くらいの間です。

40本以上の本数の多いパッケージのタバコは、種類は少ないですが割安です。

以前は独自デザインのパッケージがあった各ブランドのタバコは、ニコチンの量によってパッケージの色が違っていました。今はパッケージのデザインは、メーカーとブランドを問わず統一されています。その名残で、今も色で呼ぶことがあり、パッケージにも色を表す文字が書いてあります。メーカーによって違いますが、大概は、ニコチンが一番強い(16mg)のがRed、中間がBlue、その下がGold、低ニコチン(4㎎)がSilverやGrey、そして、1㎎がWhiteとなっているようです。タバコを買う時に、mg数を告げる代わりに、色を告げる喫煙者も多いそうです。

タバコのパッケージ

タバコのパッケージは、タバコ製造会社独自のデザインが廃止され、ブランドを問わず、喫煙撲滅のスローガン、そして、見ていて気分が悪くなるような写真が入った広告に統一されています。よって、パッケージを見ただけでは、どのブランドのどの種類のタバコか見分けがつきません。ブランドと種類を見分けるのは文字だけです。

写真は「JPS」という20本入りのタバコの「Blue」というニコチン含有量8㎎のパッケージです。$20ドルほどで売られています。

JPSという銘柄だが、たばこパッケージは統一されているもの

パッケージには、タバコの吸いすぎによって血尿が出た後の便器の写真が表示されています。「SMOKING CAUSES KIDNEY AND BLADDER CANCER」のスローガンは、「喫煙は腎臓がんと膀胱がんをひき起こす」という意味です。

この他にも数パターンがあり、血管を詰まらすこと、失明する可能性、喉頭がんになる可能性などのスローガンと共に見るに堪えない写真がパッケージに表示されています。

タバコを買うには

初めてオーストラリアでタバコを買う時は、銘柄もわからず、パッケージで選ぶことも出来ませんので、㎎数、そして、メンソール(Menthol)が欲しければそれを告げて、お店の人がすすめるものを買うのがよいでしょう。

記事一番上のタバコ屋の写真でもお判りの通り、たばこを販売する店では、タバコをむき出して陳列することが禁止されています。たいていは禁煙スローガンの表示された扉を閉めたキャビネットの中に入っています。ですから、「あのタバコをください」と指さして指定することはできませんし、たとえむき出しで陳列されていてもパッケージが全て同じなので、見ただけでは違いはわかりません。

ちなみに、タバコを販売するのは、Tobacconistと呼ばれるたばこ屋か、スーパーマーケットのたばこ販売カウンター、もしくは、新聞・雑誌、宝くじ、オパールカード等を売るNews Agent(ニュースエージェント)やKiosk(キオスク)です。購入する際に年齢確認のIDの提示を求められる場合もあります。

日本のような自動販売機はオーストラリアにはありません。

スーパーマーケット、Wollworthsのたばこ販売サービスカウンター

オーストラリア 喫煙事情

オーストラリアで喫煙する場合は日本よりも気をつけなければならないことがたくさんあります。

先ず、国内の全ての公共施設と交通機関での喫煙は禁止されています。そして、店内で禁煙できる飲食店はありません。ですから、日本の様に店内の喫煙席はありません。

外の席で喫煙できるお店もまだありますが、外でも禁煙にしているお店が増えています。州によっては、喫煙エリアと認められる場所以外の屋外での喫煙を禁止する条例が制定されています。

パブやクラブ、そして、カジノ等のギャンブルができる施設は、通常喫煙エリアが設けられており、そのエリアだけで喫煙できるようになっています。

シドニーの集合住宅では、駐車場などの共有エリアはもちろん、自分の家のバルコニーですら喫煙することができない所が多く、喫煙者は敷地の外に出て喫煙する様子がよく見かけられます。

州による禁煙法 条例の違い

各州で喫煙に関する法律に違いがあります。

New South Wales(ニューサウスウェールズ州)では、公共の建物と交通機関の乗場の出入口から4メートル以内、また、ショッピングセンター、レストラン、カフェなどの施設の建物の出入り口から4メートル以内の場所で喫煙禁止と言う条例が制定されています。子供の遊具がある遊び場から10メートル以内も禁煙です。

また、シドニーのMartin Place(マーティンプレイス)に続いて、Pitt Street Mall(ピットストリートモール)も2016年9月末から、Smoke Free Zone(スモークフリーゾーン)と呼ばれる禁煙区域となりました。

Martin PlaceはSmoke Free Zone

おそらく、Queensland(クイーンズランド州)が喫煙の取り締まりに関しては一番厳しいのではないでしょうか。全てのパブ、クラブ、レストラン、カフェでの喫煙が禁止されています。

屋外では、飲食施設の屋外のエリア、ライフガードがいるビーチ、子供の遊び場、スポーツ競技場、建物の出入り口4メートル以内などが禁煙となっています。

お酒を飲める施設は屋外に喫煙場所を設けることができますが、喫煙場所での飲食を含む喫煙以外のサービスの提供は禁止されています。

South Australia(サウスオーストラリア州)とTasmania(タスマニア州)は、レストランの屋外エリアでも喫煙できません。お酒を飲める施設の屋外喫煙場所では喫煙できます。

Victoria(ビクトリア州)は、他の全ての州と同じように、全ての公共の建物内での喫煙が禁止されていますが、屋外のエリアでは、他の州に見られるような厳しい規定はありません。

Western Australia(ウエスタンオーストラリア州)は、全てのパブ、クラブ、レストランが禁煙です。飲食施設の屋外のエリア、ライフガードがいるビーチ、子供の遊具がある遊び場から10メートル以内も禁煙です。

Canberra(キャンベラ)のあるAustralian Capital Territory(オーストラリアン・キャピタル・テリトリー)は、レストランやカフェを含む多くの場所で、喫煙が禁止されています。公共の建物内も禁煙です。外のエリアも禁煙となっている所が多数あります。

Northern Territory(ノーザンテリトリー)は全てのパブ、クラブ、レストランが禁煙です。喫煙エリアを設けている施設もあります。

ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州、ウエスタンオーストラリア州、サウスオーストラリア州、そして、タスマニア州は、子供がいる車内での喫煙は、たとえ自分の車でも違法となります。

ニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州は16歳未満、ウエスタンオーストラリア州は17歳未満、サウスオーストラリア州とタスマニア州は18歳未満の子供が同乗する車内での喫煙が罰金の対象となります。

オーストラリアへのタバコ持込み

オーストラリアに国外から持ち込めるタバコの本数は50本までです。日本のタバコで2箱ちょっとです。超えないようにしてください。

昔は2カートンOKだった時代もありましたが、国全体が喫煙撲滅モードにある現在では2箱だけです。これでは、たばこの免税範囲を気にする意味もないと言えます。

まとめ

オーストラリアは、以下の事情から喫煙者にとっては住みにくい国だと言えます。

  • タバコの値段が高い(目安は1本$1)
  • 初めての人には買うのが簡単でない
  • 喫煙できる場所が少ない
  • 社会に喫煙を撲滅する動きがある

いま日本で喫煙していて、オーストラリアにしばらく滞在することを考えているならば、タバコをやめてからくることをおすすめします。でないと、タバコ代で破産しかねません。

ちなみに、街の至る所で見られるサインの「Smoke Free」の文字は、「喫煙が自由」と言う意味ではなく、「喫煙のない」という意味ですので、勘違いしないようにしてください。「Smoke Free」の場所での喫煙は罰金の対象となります。

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