オーストラリアでワーキングホリデーを考えている人、すでに88日間の指定労働、いわゆる「ファームジョブ」を始めている人には、非常に大きな制度変更が発表されました。
これまでオーストラリアでは、一定の条件を満たして指定労働を行えば、2年目のセカンドワーキングホリデービザ、さらに条件を満たせば3年目のサードワーキングホリデービザを申請することができました。
しかし今後は、
「88日働いた=セカンドワーホリを取得できる」
という仕組みではなくなる予定です。
2026年9月17日、オーストラリアのTony Burke内相は大規模な移民制度改革を発表しました。
ワーキングホリデーでは2年目・3年目に抽選(Ballot)制度を導入。
さらに学生ビザでは、原則として配偶者や子供などの家族を一緒にビザへ含めることを制限する方針が示されています。
Visitor Visa(観光ビザ)からオーストラリア国内で別のビザへ切り替える、いわゆる「ビザホッピング」に対する規制も強化されます。
ただし、重要なことがあります。
2026年9月20日現在、これらすべての制度がすでに始まったわけではありません。
オーストラリア政府は今後約12か月をかけて段階的に導入するとしています。具体的な開始日や細かな適用条件がまだ発表されていない項目もあります。
この記事では、日本人に特に影響の大きい変更について、オーストラリア政府が発表した情報をもとに整理します。
【結論】今回の変更で日本人に特に関係するのはこの4点
今回発表された内容の中で、留学・ワーホリでオーストラリアへ来る日本人に特に重要なのは次の変更です。
① セカンドワーホリが抽選制になる
88日間の指定労働を完了しても、それだけで2年目のワーホリが認められるわけではなくなります。
② サードワーホリはさらに狭き門になる
6か月の指定労働を終えた人を対象に抽選が行われ、年間5,000人までに制限される予定です。
③ 多くの学生ビザで家族帯同が制限される
留学生が配偶者や子供をSecondary Applicantとして学生ビザへ付けて渡豪することが原則として制限されます。
④ 観光ビザからオーストラリア国内で他のビザへ切り替えることが難しくなる
Visitor Visaに原則「No Further Stay」の条件を付ける方向が示されています。
以下、詳しく見ていきます。
セカンドワーホリは「88日働けば取れる」制度ではなくなる
今回、日本人のワーホリ利用者に最も大きな影響があるのがこの変更でしょう。
現在のオーストラリアのWorking Holiday Maker制度では、日本のパスポート保有者はSubclass 417の対象です。
一定地域・一定業種で指定された仕事を88日間行うなどの条件を満たすことで、2回目のWorking Holiday Visa、いわゆるセカンドワーホリを申請できます。
ところが新制度では、
88日間の指定労働
↓
セカンドワーホリの抽選参加資格を得る
↓
Ballot(抽選)
↓
当選者のみ2年目へ
という仕組みに変更される予定です。
つまり、
88日働いても、セカンドワーホリに進めない可能性が出てきます。
Tony Burke内相は2026年9月17日のNational Press Clubで、2年目のWorking Holiday Visaについて、年間の抽選枠を45,000人にすると発表しました。
比較として、前年には約57,000人が2年目の資格を得ていました。
「ファームに3か月行けばセカンドが取れる」は今後通用しない可能性
これは今後オーストラリアでワーホリをする人にとって、かなり重要です。
これまでは、
オーストラリアに1年間だけでは足りない
↓
セカンドを取りたい
↓
ファームなどで88日間働く
という計画を立てることができました。
新制度導入後は、
88日間指定労働をする
↓
抽選資格を取得
↓
当選すれば2年目
↓
落選すれば原則1年で終了
となります。
もちろん、指定労働そのものがなくなるわけではありません。
むしろ88日間の条件は残ります。
ここが非常に重要です。
「抽選制になるなら、もうファームに行かなくていい」ということではありません。
政府発表では、2年目の抽選に参加するためには、現在と同様に88日間の指定労働を行う必要があるとされています。
サードワーホリは年間5,000人へ
3年目のサードワーキングホリデーは、さらに大きく絞られます。
新制度では、
2年目のワーホリ中に6か月間の指定労働
↓
サードワーホリの抽選資格
↓
Ballot
↓
当選者のみ3年目
となります。
政府が発表した年間枠は、
5,000人
です。
前年には約31,000人が3年目の資格を得ていました。
単純に前年の人数と比較すると、3年目に残る人数をかなり減らす制度設計となっています。
ではセカンドワーホリの当選確率は?
2026年9月20日時点では、まだ分かりません。
政府が発表したのは、
- 2年目:45,000枠
- 3年目:5,000枠
という規模です。
しかし、実際に何人が抽選へ応募するのか、国籍別に枠が設定されるのか、抽選がいつ行われるのか、何回行われるのかなど、重要な詳細はまだ発表されていません。
そのため、
「セカンドワーホリの当選率は○%」
という情報がSNSなどで出てきても、現段階では注意が必要です。
例えば前年に2年目の資格を得た約57,000人と45,000枠だけを比較すれば約79%になりますが、これを新制度の「当選確率」と考えることはできません。
制度開始後の応募者数によって大きく変わるためです。
日本人のファーストワーホリまで抽選になる?
今回の発表内容を見る限り、
日本人が初めて取得する1年目のWorking Holiday Visaを、新たに抽選制にするという発表ではありません。
今回Ballot導入が発表されたのは、
Year 2
Year 3
です。
したがって、これから初めてオーストラリアへワーホリに来る日本人については、少なくとも今回発表された「45,000人・5,000人」の抽選制度とは別です。
ただし、Working Holiday Maker制度自体について今後追加の詳細が発表される可能性があるため、渡航前にはHome Affairsの最新情報を確認してください。
イギリス人ワーホリとは条件が違う
ここもネット上の情報を見る際には注意が必要です。
イギリス国籍者については、Australia–UK Free Trade Agreementに基づく特別な制度があります。
現在、日本人などとは異なり、2年目・3年目のためのRegional Workを行う必要がありません。
今回Tony Burke内相も、イギリスについては他のWorking Holiday Makerとは別の事情があることを説明しています。
そのため、
イギリス人向けのワーホリ情報を、日本人にもそのまま当てはめないよう注意してください。
学生ビザでは「家族を連れて留学」が大幅に制限へ
もう一つ非常に大きな変更が学生ビザです。
これまでは、Student Visaを取得する留学生が、
- 配偶者
- パートナー
- 子供
などをSecondary Applicantとして学生ビザに含め、一緒にオーストラリアへ来ることができました。
しかし政府は今回、
多くのStudent Visaについて家族をSecondary Applicantとして付けることを制限する
方針を発表しました。
例えば、
夫がオーストラリアの大学へ留学
+妻
+子供
という形で家族全員が学生ビザをベースに渡豪するケースに、大きな影響が出る可能性があります。
Temporary Graduate Visaについても家族帯同制限の対象となる方針が示されています。
すでにオーストラリアにいる留学生の家族はどうなる?
すでに家族と一緒にオーストラリアに滞在している人について、政府は家族を引き離す考えではないと説明しています。
Tony Burke内相は、すでに家族がビザに含まれてオーストラリアにいるケースについては、その家族を分離することはしないと述べています。
つまり、
「学生ビザで家族と現在オーストラリアに住んでいる人が、今回の発表によって直ちに家族を帰国させられる」
という意味ではありません。
PhD、ASEAN・Pacific出身者などには例外
家族帯同がすべての留学生について完全禁止になるわけでもありません。
政府は例外として、
- PhDなど一定のコース
- Pacific諸国
- ASEAN諸国
- その他一定の条件
について、引き続き家族帯同を認める方針を示しています。
日本はASEAN加盟国ではありません。
そのため、日本人留学生については今後発表される詳細を特に注意して確認する必要があります。
「子供の留学に親が付き添えなくなる」は本当?
今回のニュースで特に誤解しやすい部分です。
オーストラリアには、18歳未満の子供がStudent Visaで留学する場合に、親などが付き添うための
Student Guardian Visa(Subclass 590)
があります。
今回政府が明確に発表したのは、
「most student visasのSecondary Applicantを制限する」
という内容です。
一方、
Student Guardian Visa Subclass 590そのものを廃止する
という発表は、2026年9月20日時点の政府発表では確認できません。
したがって、
「今後、未成年の子供がオーストラリアへ留学しても親は一緒に来られなくなる」
と断定するのは現時点では早いでしょう。
学生本人のビザに配偶者・子供をSecondary Applicantとして付ける制度と、未成年の学生に親がGuardianとして付き添うSubclass 590は区別して考える必要があります。
今後政府から詳細な規則が発表された際には、この点も改めて確認する必要があります。
学生ビザの「ビザホッピング」も規制
今回の学生ビザ改革では、家族帯同だけでなく、
Visa Hopping(ビザホッピング)
も大きな対象となっています。
これは例えば、
大学を卒業
↓
別のDiplomaへ
↓
Certificateコースへ
↓
別の学校へ転校
というように、コースを変えながらStudent Visaを延長し、長期間オーストラリアに滞在するケースです。
政府は、今後学生が別のコースへ移る際のルールを厳しくし、基本的には学歴・資格のレベルを上げていく方向へ制度を変更すると説明しています。
例えば、
Bachelor Degree → Master Degree
といった進学は想定されています。
一方、資格レベルを下げる形で次々にコースを変更し、Student Visaで滞在期間を延長するケースについては厳しくする方針です。
これは特に、
「とりあえず学生ビザに切り替えてオーストラリアに残る」
という選択肢に影響する可能性があります。
観光ビザで入国してから学生ビザなどへ変更する方法も厳しくなる
さらに政府はVisitor Visaについて、
原則としてNo Further Stay Conditionを付ける
方針を発表しました。
No Further Stayとは、簡単に言えば、
オーストラリア国内にいる間に別のビザへ切り替えることを制限する条件
です。
これまで、
Visitor Visaでオーストラリアへ入国
↓
学校を探す
↓
オーストラリア国内からStudent Visaを申請
などを検討するケースもありました。
今回の改革が予定通り実施されれば、
「とりあえず観光でオーストラリアに入り、その後ビザを考える」
という方法は、これまで以上に難しくなります。
なぜオーストラリア政府はここまでビザを厳しくするのか?
今回の改革の背景にあるのが、
Net Overseas Migration(NOM:純海外移民)
です。
オーストラリア政府によると、NOMは2023年のコロナ後のピークから47%減少し、直近では約292,000人まで低下しています。
政府はさらに、
2026–27年度:245,000人
2027–28年度:225,000人
という水準を目指しています。
Tony Burke内相は、住宅事情なども考慮しながら移民数を管理する一方、医療、建設、教育、農業などオーストラリアで必要とされる技能を持つ人材については優先する方針を示しています。
そのため今回の改革は、
「外国人を一律に減らす」
というより、
Temporary Visaを利用した長期滞在をコントロールし、必要なSkilled Migrationを優先する
方向の制度変更と見ることができます。
医療・建設・教育などのSkilled Visaはむしろ優先へ
今回の発表では、Skilled Migrationの優先順位も変更されます。
【2026年9月23日追記】
9月17日の政府発表を受け、Skilled Visaの新しい優先処理制度が9月19日から正式に開始されました。従来のMinisterial Direction 119は、Ministerial Directions 121・122に置き換えられています。
新制度では、Construction(建設)、Healthcare(医療)、Teaching(教育)、Agriculture(農業)、Aquaculture(水産養殖)、Fishing(漁業)、Resources(資源)およびLaw Enforcement・Defence関連の申請が最優先で処理されます。
これは該当職種のビザ取得条件が緩和されたという意味ではなく、対象となるビザ申請を優先して審査する制度です。
つまり、
「オーストラリアへの移住が全面的に難しくなる」
という単純な話でもありません。
職種、ビザカテゴリー、オーストラリアで必要とされているスキルによって、今後ますます差が出る制度になりそうです。
今から88日間のファームジョブをする意味はある?
これからセカンドワーホリを狙っている人にとって、おそらく最も気になるところでしょう。
2026年9月20日時点では、
「抽選になるから88日間の指定労働をする意味がない」
とは言えません。
新制度でも、セカンドワーホリのBallotへ参加するために88日間の指定労働が必要だからです。
一方で、新制度開始後は、
88日間働けば確実に2年目へ進める
という保証はなくなります。
そのため今後ワーホリへ来る人は、
「絶対に2年間オーストラリアに住める」
ことを前提に仕事、学校、住居、旅行などの長期計画を組むことは避けた方がよいでしょう。
すでに88日を終えた人は抽選になる?
ここも現時点では断定できません。
政府は制度を今後12か月かけて段階的に導入するとしていますが、
- Ballotの開始日
- すでにSpecified Workを完了している人の扱い
- すでにSecond WHVを申請済みの人の扱い
- 施行日前後の経過措置
- 国籍ごとの割当
- Ballotの実施時期・方法
などについては、今後さらに詳細が発表されると考えられます。
したがって、
現在セカンド・サードワーホリの準備中の人は、「自分は旧制度だから大丈夫」と自己判断せず、施行日と経過措置を確認することが重要です。
いつから変わる?
これも今回のニュースを見る際の重要なポイントです。
2026年9月17日に政府が改革方針を正式発表しましたが、
すべてが9月17日から施行されたわけではありません。
Department of Home Affairsは、
「変更はすでに一部導入を開始しており、今後12か月にわたり段階的に展開する」
としています。
したがって、
「セカンドワーホリがもう抽選になった」
「今日から学生は家族を連れて来られない」
といった説明も、現時点では正確ではありません。
重要なのは、
発表された制度変更
と
すでに施行された制度
を分けて考えることです。
Australia Here and Nowでも、新しい施行日や詳細が発表され次第この記事を更新します。
2026年オーストラリア・ビザ改定 よくある質問
Q. 88日間ファームで働けばセカンドワーホリは取れますか?
現在の制度では条件を満たせばSecond Working Holiday Visaを申請できます。
ただし政府は今後Ballot制度を導入すると発表しています。新制度では88日間の指定労働は抽選参加の条件となり、88日を終えただけでセカンドビザを取得できるとは限りません。
Q. セカンドワーホリは何人までですか?
政府が発表した年間枠は45,000人です。
前年には約57,000人が2年目の資格を得ています。
Q. サードワーホリは何人までですか?
年間5,000人のBallotになる予定です。
前年には約31,000人が3年目の資格を得ていました。
Q. 日本人のファーストワーホリも抽選になりますか?
今回発表された45,000人・5,000人のBallotは2年目・3年目についてです。
日本人の1年目のWorking Holiday Visaを同じBallot制度へ変更するという発表ではありません。
Q. 学生ビザで夫・妻や子供を連れて行けなくなりますか?
政府は「most student visas」についてSecondary Applicantを制限する方針です。
ただしPhD、Pacific・ASEAN諸国などには例外が予定されています。詳細条件は今後発表されます。
Q. 子供がオーストラリアへ留学すると、親は一緒に行けなくなりますか?
未成年の学生に付き添うStudent Guardian Visa(Subclass 590)の廃止は、今回の政府発表では確認されていません。
学生の配偶者や子供をStudent VisaのSecondary Applicantとして付ける制度と、Student Guardian Visaは別に考える必要があります。
Q. もう新制度は始まっていますか?
一部の変更は導入が始まっていますが、政府は全体を今後約12か月かけて段階的に実施するとしています。
セカンド・サードワーホリのBallotなどについては、開始時期や詳細を必ず最新のHome Affairs情報で確認してください。
これからオーストラリアへ来る人ほど「ビザを後で考える」が難しくなる
今回の改革を全体として見ると、一つの方向性が見えてきます。
これまでは、
まずワーホリで来る
→ セカンドへ延長する
あるいは、
観光で来る
→ 学生ビザを考える
さらに、
学生ビザ
→ 別の学校
→ 別のコース
と、オーストラリアに来てから滞在方法を考え直す余地が比較的大きくありました。
しかし今回の改革では、
「入国してから次のビザを考える」方法を厳しくする
方向がはっきりしています。
これからオーストラリアへ留学・ワーホリに来る人にとっては、
何のビザで来るのか
何年間滞在したいのか
その後どのビザを目指すのか
を渡航前から考える重要性がこれまで以上に高くなります。
特に、
「88日働けば2年間いられる」
ことを前提としてワーホリの計画を立てている人は、今回の制度変更を必ず確認しておいた方がよいでしょう。
Australia Here and Nowから
今回の移民制度改革は2026年9月17日に発表されたばかりで、施行日や経過措置など、まだ明らかになっていない部分があります。
Australia Here and Nowでは、オーストラリア政府Department of Home Affairsから新しい情報が発表され次第、この記事を更新します。
特にセカンド・サードワーホリのBallot開始日、すでに88日・6か月のSpecified Workを終えている人の扱いについては、今後の発表を確認する必要があります。
※この記事は2026年9月20日時点のオーストラリア政府発表をもとに作成しています。ビザ条件は個人の状況によって異なります。実際にビザを申請する際は、Department of Home Affairsの最新情報または登録Migration Agent等へ確認してください。