日本一時帰国の保険 - 民間の海外旅行保険vs.国民健康保険

海外に在住する日本人が日本へ一時帰国する際に悩むことの一つに、保険をどうするかという問題があります。

長期で海外にお住まいの方の多くは、日本から住民票を抜いており、日本の国民健康保険には加入されていないことと思います。

日本に一時帰国した時に、滞在期間だけ住民票を入れて国民健康保険を取得し、歯科治療などをして、日本を離れる前にまた抜くということをしていた海外定住者も多いと思いますが、最近では自治体で短期の一時帰国での住民票登録を断られるケースが増えているそうです。

一時帰国時にもしものことがあった場合の保険が欲しいということなら、わざわざ国民健康保険に加入する必要もなく、民間の旅行保険で事足りますし、手間も費用も少なくて済みます。

この記事では、日本の国民健康保険に加入するための条件と、国民健康保険に入れない一時帰国者が、万一に備えて入れる医療をカバーする民間の旅行保険について説明します。

国民健康保険

国民健康保険加入の条件

日本へ定住する場合、国民健康保険に加入するには、先ず帰国後14日以内に定住を決めた地域の役所に転入手続きをする、つまり住民票を入れる必要があります。

しかし、全てではありませんが多くの自治体では、生活の本拠地が海外にある場合、帰国が一時的なものであり再び海外へ戻る場合は、転入届は受け付けてもらえず、国民健康保険へ加入することもできません。

一時的な帰国とみなされる期間はどのくらいなのでしょうか?自治体により違いはあるようですが、「日本滞在期間が1年以内で、その後また海外へ出国する場合は住民票登録を受け付けない」というケースが多いようです。

実際に住民票を入れに役所に行ってに断られたという、一時帰国者はたくさんいる一方、1か月くらいの短期滞在でも住民票を入れて国民健康保険に加入できたという人もいます。

自治体によっては、健康保険料を払えば、日本で国民健康保険に加入できるケースもあるらしいので、帰国前に滞在先の自治体の役所に問い合わせしてみるとよろしいでしょう。

国民健康保険に無理して入るメリットは?

一時帰国者が国民健康保険に加入したい理由の第一位は、日本で歯科治療を受けたいというものです。

海外での歯科治療は国民健康保険対象外で、治療費も日本に比べると異常に高いことが多いので、日本帰国時に悪い歯を全て直したいという人が多いのです。

そうでなくても、日本で病気になった時の為に国民健康保険に入っておきたいという話もよく聞きます。特に、お子様と一時帰国する方の中には、子供が日本へ帰ると必ずと言っていいほど風邪をひくので、日本で手軽に病院に行ける健康保険が欲しいという方もいるのではないでしょうか?

一時帰国時の短期日本滞在で、住民票を入れて国民健康保険に加入することのデメリットは、転入手続きが面倒、国民年金、住民税の支払い義務が発生する、そして、国民健康保険料が高いことです。

国民健康保険料だけをとっても、自治体によって差はありますが、前年の収入がなかった場合で最低でも、一人月額5,000円くらい、家族がいれば月額10,000円以上はかかります。そして、医療費の3割は自己負担です。


国民健康保険料をシミュレーションできるサイトもありますので、ご自分のケースをシミュレーションしてみるとよいでしょう。

また、義務教育の年齢にあたるお子様がいらっしゃる方は、住民票を入れると、子供を学校へ入学させる義務が生じます。(日本帰国時に子供を日本の学校に入れたい場合はこの制度は逆に都合がいいでしょう。)

結局、一時帰国での短期日本滞在時に、万一ケガや病気をした時の保険が欲しいなら、お住まいの国で旅行保険に入った方が手っ取り早く、国民健康保険に加入するよりも安く済ませることができます。

数か月以上にわたる長期滞在なら、国民健康保険に加入することを考える価値はあるでしょう。

ちなみに、私は日本一時帰国時に国民健康保険に加入したことはありません。私の場合は、今まで一時帰国の期間が最長でも1か月を超えることはなかったので、手間をかけて無理して国民健康保険に加入するメリットを感じられなかったからです。

それでも、日本へ帰った時は歯医者に行きます。私が住むオーストラリアでは、歯科治療費が日本に比べて異常に高いので、全額払ってでも日本で歯科治療を受けた方が安く済むからです。

1日で終わる歯科治療

ブランパ銀座 

東京・銀座の1 日で虫歯治療が完了する、通わなくていい歯医者。最新技術で歯の修復物をその場で作成。歯科技工士が常駐し、研磨などの調整もその場で行う。

一時帰国者が使える民間保険の種類

日本の自治体で転入届を出して国民健康保険に加入する以外に、医療費をカバーするには、以下の方法があります。

  • 在住国で海外旅行傷害保険に加入
  • 日本の保険会社の逆海外旅行保険に加入する
  • クレジットカードに海外旅行保険が付帯していればそれを使う

緊急を要しない歯科治療をカバーできる保険はありませんが、病気やケガをカバーできるだけでなく、携行品の損失や賠償責任、フライトのキャンセルなどにも対応した保険に加入することができます。

緊急を要しない歯科治療とは、虫歯治療など悪いところを直してもらう歯の治療、チェック、クリーニングなどです。旅行先で、緊急の治療を必要とする予期しない歯の症状が発生した場合(我慢できない痛みが起きた場合など)を補償する海外旅行保険はたくさんあります。

在住国で海外旅行傷害保険に加入

日本から海外に行く人が入る海外旅行保険に入るように、海外から日本に行く人が入る海外旅行保険です。

海外に住む日本国籍を持った日本人でも、ビザの種類にかかわらず、日本一時帰国の際に現地の海外旅行保険に加入することが可能です。

オンラインで簡単に見積もり、申し込みが可能な海外旅行保険を提供する利用者も多く評判も良い保険会社をリストしました。

お住いの国で日本への渡航前に旅行保険に入れば、万が一、日本で病気をしたり怪我をした時の医療費用がカバーされます。

あらゆる状況での病気、ケガに対応し、損害賠償のカバー、そして、携行品やフライトキャンセルによるエアチケットや宿泊費用を補償するオプションも選択できます。

渡航先、希望する補償内容、日数、人数を入力するだけで、どのサイトも簡単に料金を見積もることができます。数週間までの短期滞在の保険料は、大抵の場合、日本で国民健康保険料より安く済むでしょう。

旅行保険は、大きく別けて、一回の旅行(Single trip)にだけ適用されるものや、一定期間の複数回の旅行(Multi-trip)に適用されるものがあります。数か国を訪問する旅行や、一定期間に国と国の間を何度も往復する場合にも、1つの保険で対応が可能です。

日本国外の定住される国で海外旅行保険に加入するメリットとデメリットは以下の通りです。

海外旅行保険に入るメリット

  • オンラインで簡単に制限なく加入できる。国民健康保険のように何度も役所に行く手間がない。
  • 短期滞在なら日本で国民健康保険に入るより安い。
  • 病気・ケガ以外に、携行品や損害倍書、トラブルに見舞われた際の補償も選べる。
  • あらゆるオプションが選べカスタマイズ可能。
例: スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツでの事故をカバーするオプション、レンタカーの事故をカバーするオプション、海外での結婚式を挙げる人の為のオプション、一緒に旅行するペットの為のオプション、COVIDのオプション、大型客船でのクルーズ旅行のオプション他

海外旅行保険に入るデメリット

  • 保険を使う時のやり取りが日本語ではなく現地語である。
  • 日本でかかった費用は一旦自己負担、居住国に戻ってきてからクレームする必要がある。(クレームの際、日本での医療費の支払いに対する請求書などを現地語に翻訳する必要がある。)

もしものための保険という観点では、定住国で海外旅行保険に加入することで事足りますし、わざわざ手間をかけて、高い費用を払って国民健康保険に加入するメリットはありません。

ちなみに、民間の海外旅行保険でカバーされる歯科治療は旅行先で、緊急の治療を必要とする予期しない歯の症状が発生した場合(我慢できない痛みが起きた場合など)のみで、虫歯治療など緊急を要しない歯の治療、チェック、クリーニングには適応されません。

オーストラリア在住者の海外旅行保険

以下は、オーストラリア在住者が日本に一時帰国する時に使える旅行保険です。行先は、日本だけでなく、どこの国でも選択できますし、オーストラリア在住者なら保持するビザに関係なくだれでも加入できます。

AllClear Travel Insurance

AllClear Travel Insuranceは、大手消費者レビューサイトTrustpilotでの評価が非常によく、あらゆる病気・ケガに対応する保険を用意しており、日本だけでなく世界中のあらゆる国への渡航に対応しています。また、年齢の制限がなく保険に加入することができます。

補償の範囲と内容は上記のTravel Insurance Saverとほぼ変わりません。

サイト内の「Quote Online」から、オンラインで簡単に保険料を見積もることが可能です。

AllClear Travel Insurance(AU)のサイトへ

TID

TIDは、消費者レビューサイトのProduct Reviewで高評価を得ている保険会社です。

国内外の旅行に対応した多様な補償のオプションが用意されています。カバーされるもの、カバーされないものについての説明、保険の申請方法のステップガイドなど、ユーザーにとってわかりやすくて、安心して加入できる情報が充実しています。

TIDのサイトへ

イギリス在住者の海外旅行保険

以下は、イギリス在住者が日本に一時帰国する時に使える旅行保険です。行先は、日本だけでなく、どこの国でも選択できますし、イギリス在住者なら保持するビザに関係なくだれでも加入できます。

AllClear Travel Insurance

AllClear Travel Insuranceは、大手消費者レビューサイトTrustpilotでの評価がすこぶる良く、カスタマーケアで1位の評価を得ています。

あらゆる病気やケガに対応する保険を用意しており、日本だけでなく世界中のあらゆる国への渡航に対応しています。また、年齢の制限がなく保険に加入することができます。

AllClear Travel Insurance(UK)のサイトへ

Flexicover Travel Insurance

Flexicover Travel Insuranceは、補償の種類が非常に多いのが特徴で、旅行者のあらゆる対応する保険会社です。Trustpilotでも利用者から高評価を得ています。

Flexicover Travel Insuranceのサイトへ

Travel Insurance 4 Medical

Travel Insurance 4 Medicalは、持病を持つ旅行者をカバーする保険のスペシャリストです。他社では補償できないようなレアな病状でもここなら補償してくれる可能性が高いです。

もちろん、他の旅行保険が補償する病気・ケガ以外の内容もカバーしています。Trustpilotでの評価は満点に近いです。

Travel Insurance 4 Medicalのサイトへ

米国在住者の海外旅行保険

以下は、米国在住者が日本に一時帰国する時に使える旅行保険です。

AXA Travel Insurance

AXA Travel Insuranceは、世界的に有名な保険会社の大手AXA(アクサ)の旅行保険です。病気・ケガのコスト以外に、旅程のキャンセルや変更による損失や携行品紛失の補償など、幅広い項目をカバーしたシルバー、ゴールド、プラチナの3種類のプランが用意されています。

各プランの料金は、見積もりから、個人情報を入力せずに簡単に確認できます。

AXA Travel Insuranceのサイトへ

世界のあらゆる国の在住者対応の海外旅行保険

以下は、世界中どこの国からでも加入できる旅行保険です。行先は、日本だけでなく、どこの国でも選択できますし、だれでも加入できます。

EKTA

EKTAは、世界中の国からの海外旅行者に対応する、GoogleとTrustpilotでの利用者による評価がほぼ満点の旅行保険会社です。業界最安値を保証しています。

保険のプランは格安の医療保険のみのプラン、COVIDと事故のカバーも付いたプラン、そして、携行品紛失、フライトのキャンセル他のフルカバーのプランの計3つのプランが用意されています。

医療保険のみだと、14日間の日本への旅行でわずか、$18USDくらいの保険料と格安です。

EKTAのサイトへ

VisitorsCoverage

VisitorsCoverageは、定評のあるカスタマーサービスで数々の賞を授かっている保険会社で、GoogleとTrustpilotでも非常に高い評価を得ています。

世界各国からの海外旅行者に対応するプラン(International Travel Insurance)も豊富ですが、米国の訪問に特化したプラン、ヨーロッパ周遊に適したプラン、クルーズ旅行専用のプランにも力を入れています。

VisitorsCoverageのサイトへ

日本国内の損保会社が提供する海外からの一時帰国者のための保険

逆海外旅行保険

東京海上日動が提供する、日本から海外へく人の為の海外旅行保険の逆バージョンの保険です。

損保ジャパンでも同様の保険を提供していたらしいですが現在は停止しています。

東京海上日動の逆海外旅行保険の対象は、日本に短期滞在する海外在住の日本人。および、非日本人であり、日本国内の保険のルールが適用されます。

逆海外旅行保険がカバーするのは、ケガや病気の他、損害賠償、携行品の盗難・破損補償なども含まれます。歯科治療や妊娠出産には適用されない

日本入国前に申し込む必要がありますが、日本国外にいる人は申し込みができません。日本帰国者自身が申し込みできないという不便さです。よって、日本在住者に代理で申し込みをしてもらわなければなりません。

逆海外旅行保険は、32日以上日本に滞在する人向けで、滞在期間が1か月以内の人には、Tokio Omotenashi Policyという保険が用意されています。

Tokio Omotenashi Policyの方は、日本到着後に申し込みが可能です。カバー範囲は、病気とケガに特定されています。こちらも、歯科治療には使えません。

逆海外旅行保険のサイトへ

さいごに

海外を定住地とする一時帰国者は、国民健康保険も簡単には入れなくなってきているこのご時世、国民健康保険がない海外在住者にとって、日本に一時帰国する際の保険をどうするかはちょっとした悩みですよね。

そんな時に便利な民間の旅行保険をいくつか紹介しました。万一のための保険という観点では、定住国で海外旅行保険に加入することで事足ります。

歯医者に通うために国民健康保険に加入するという目的は別にして、一時帰国時の短期日本滞在において、転入届を出したりする為に何度も役所に通う手間をかけて、高い費用を払ってまで、国民健康保険に加入するメリットはありません。

保険を使うような状況は避けたいですが、万一というときには加入しておいてよかったとなるのが保険です。

この記事の情報が、一時帰国時の保険の問題を解決する助けになれたらうれしいです。

在住国で旅行保険が付帯したクレジットカードをお持ちの場合は、そちらの補償内容もご確認の上、必要に応じて、ご自分のパターンに合った旅行保険を購入されるのがよろしいでしょう。

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