オーストラリアのワインを世界一にしたレジェンドNeil McGuiganさんに聞いてみた

Neil McGuigan(ニール・マクギガン)氏は、オーストラリアを代表するワインメーカーの一人であり、国際的に称賛されるワインメーカーです。

オーストラリアのいくつもの有名ワインブランドを保有するAustralian Vintage社のCEO兼チーフワインメーカーを務めた人物であり、その業績から、オーストラリアのワイン業界で知らない人はいない存在です。

革新的で品質の高いワインを世界に提供することに情熱を注ぎ、そのワインづくりへのコミットメントと献身により、ロンドンで行われたインターナショナル・ワイン・アンド・スピリット・コンペティションという世界最大規模のコンペティションにおいて、2009年、2011年、2012年、2016年の4回にわたり、McGuigan(マクギガン)ワインをインターナショナル・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー、そして、オーストラリアン・プロデューサー・ザ・イヤー受賞に導くという快挙を達成しました。世界にオーストラリアのMcGuigan(マクギガン)ブランドの名を知らしめました。このような功績を成し遂げたワインメーカーは他にはいません。
この功績に加えて、Neil McGuigan(ニール・マクギガン)氏とMcGuigan(マクギガン)ワインチームは、2009年、2012年、2013年にロンドンで行われたインターナショナル・ワイン・チャレンジでインターナショナル・ホワイト・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。

Neil McGuigan(ニール・マクギガン)氏は、2022年ハンターバレー・レジェンズ&ワイン・インダストリー・アワードで2022年のハンターバレー・ワイン業界のリビング・レジェンド(生きる伝説)に選ばれました。
そんな、ワインのレジェンド、Neil McGuigan(ニール・マクギガン)氏にシドニーで会う機会を得ましたので、インタビューしてみました。

Q:筆者質問
A:Neil McGuigan(ニール・マクギガン)氏回答

最近ではAustrade(オーストラリア貿易促進庁)が日本に向けてオーストラリアのワインを紹介する活動に力を入れています。オーストラリアのワインメーカーとして日本市場をどのように捉えていますか?

ワイン産業にとって、日本の消費者はより重要になってきています。日本では、より多くの人がワインを嗜むようになってきているからです。その量はまだまだ少ないですが、それは問題ではありません。
大事なのはワインとはどんなものなのか、そして、オーストラリアのワインがヨーロッパのワインに比べて如何に良いものであるかを伝えていくことです。ヨーロッパのワインも良いですが、オーストラリアのワインはもっとフルーツが含まれており、もっとリッチです。そして、もっと手に入れやすいものであります。
オーストラリアのワインの販売促進活動も重要ですが、今より更に日本へ(お酒としての)ワイン自体を広めていく必要があると思います。
オーストラリアワインは日本食との相性もいいです。相性が良いワインは、日本食のすばらしさを高めます。

ヨーロッパのワインに比べてオーストラリアのワインが違うのはどんな点ですか?オーストラリア産ワインの特徴は何ですか?

オーストラリアの太陽の恵みによってブドウが完熟します。だから、たくさんの風味と深み(濃度)をもたらします。私たちは幸運にも、この素晴らしい太陽の恵みと多様な地域性を持っています。オーストラリアだけで、暖かい気候から、涼しい気候、そして、寒い気候の地域まで様々です。ですから、オーストラリアでは、ありとあらゆる種類のワインを生産できるのです。
価格帯ごとにオーストラリアのワインとヨーロッパのワインを比較すると、オーストラリアのワインが常に、よりおおくの風味と深みを持っていることで勝るのです。それはオーストラリアの気候のおかげです。

現在中国はワインに対する関税率を高くしていますが、オーストラリアのワイン産業にどう影響していますか?

沢山の赤ワインが中国へ輸出されてきました。中国に輸出されるワインの95%が赤ワインです。中国では赤ワインを好む傾向があるようです。中国の関税大幅引き上げにより、オーストラリアのワイン産業は、今まで中国に輸出されていた分を他に売らなければならないという問題を抱えました。

生きる伝説と呼ばれるのはどんな感じですか?

私自身がそれに値するかどうかは定かではありませんが、ハンターバレーの生きる伝説と呼ばれるのは非常に光栄に思います。しかしながら、私より前の世代の方々が、地域とそこで生産されるワインを世界レベルのものへと押し上げたのです。私もその中の一人として認識してもらえるのはとても幸運なことですが、私の前の世代の人たちは私がしたよりもはるかに大きくのことを成し遂げました。

ワインの業界にはたくさんのビジネスがありますし、もっと古くからワインの生産に携わってきたワインメーカーがたくさんいます。そんな中で、オーストラリアのワイン業界で最も成功した一人となったその秘訣は?

そう言ってもらえるのは嬉しいですが、私自身、自分をそのようには捉えていません。オーストラリアのワイン産業の為に素晴らしい仕事をしたたくさんの人たちがいます。
私が思うに、その中でもベストな結果を出した人たちは、ワインを本当にリスペクトした人たちです。傑出したワインをつくることに自らを捧げて打ち込んできた人たちです。その努力は、ブドウ畑でブドウを育てるところから、ワイン製造過程、そして、それ以上の過程へと及びます。
ワインを第一に考えれば、結果ワイン製造会社も良いものとなります。ワインはヒーローでなければならないのです。ワインをヒーローにすれば、素晴らしいワインが出来上がり、消費者に素晴らしいワインを届けることができ、そして、商業的にも上手くいくのです。Make the wine the hero.(ワインをヒーローにする)です。私は、この言葉をモットーに生きてきました。

日本のワイン好きの人たちにメッセージはありますか?

もっとオーストラリアのワインを飲んでください。お気に入りの銘柄を飲むのも良いですが、色々な地域からのワインを試してみてください。多くの種類のワインを味わうほど、ワインを味わう楽しみも増えていきます。
我々ワインメーカーは消費者をワイン探求の旅へと導いていかなけれはなりません。人々のpalate(味覚)*は変わります。私たちは人々のpalate(味覚)がどう変わっていくかを意識して、それに合わせて進んでいく必要があります。消費者のpalate(味覚)の変化に合わせたワインを提供していくことが、ワインメーカーには重要だと思います。

* Palete
パレットと発音するのでpalletと勘違いされる。口の中の天井部分のことでもあるが、ワインテイスティングにおいては、味と感覚的なものを含む味覚のことで、見た目、匂い、味、感覚をも含んだ感覚的なものともいわれる。ワインのテイスティングにおいてよく使われる表現。ワインの味覚はワインを知れば知るほど変わっていくと言われる。ワイン初心者の多くは甘めのワインを好む傾向にあるが、色々なワインの味があることとその奥深さを知るとドライなものが好きになったりする。

Neil McGuigan(ニール・マクギガン)氏の哲学は常に“Make the wine the hero.”(ワインをヒーローにする)です。これは、ワインを他のアルコール類を差し置いてヒーローにするということではなく、ワインをリスペクトし、ブドウを育てる過程からワインを生産する過程まで、ワインを常に第一に考えて情熱を注ぐということなのです。

-社会・文化
-

error: Content is protected !!